【トキメキ、風に乗って】

彼女は、窓から顔を出していた。

麦わら帽子が風に揺れ、頬に当たる陽光が柔らかく笑顔を包んでいる。

電車はカーブを抜け、金色の田んぼの中をすべるように進んでいた。

「この風、東京にはないね」

そう言って、彼女はふっと目を閉じた。

風が花びらを運んでいく。

その一枚が、彼女の髪にそっと触れた瞬間、
僕の胸の奥でなにかが小さく弾けた。

夏の終わりが少しだけ遠く感じた。

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