窓から入る冬の日差しって、どうしてこんなにやさしいんだろう。
こたつの布団に頬をくっつけると、じんわり温かくて……つい、目が重くなる。

少しだけ休むつもりだったのに。

フードを引き上げて、首のあたりまで包み込んだ。
安心した瞬間、体から力が抜けていく。

そのとき、すぐそばで小さな重みが動いた。
こたつの中から、猫がそっと寄ってきて、私の腕に身体を預ける。

「……あったかいね」

声にはならなかったけれど、胸の奥でつぶやく。
猫は喉を鳴らして、まるで答えるみたいに震えた。

テーブルの上には、むいたままのみかん。
床にはスマホ。
さっきまで気になっていた通知も、全部どこか遠く。

ここだけ、時間が止まったみたい。

あと五分だけ——そう思う。
きっと五分じゃすまないってわかってるのに、やめられない。

猫が、もう少し近くに寄ってくる。
同じリズムで呼吸しているうちに、まぶたが静かに落ちて——

あったかい世界に、そっと沈んでいった。