葛葉 ― 年の瀬の境内にて。 ※ショートストーリー付
2025/12/28使用したAI Stable Diffusion XL
年齢制限 全年齢
年の瀬の境内は、しんと静まり返っておった。
雪が屋根を白く染め、鳥居の朱だけが凛として立っている。

妾は竹箒を手に、石畳をゆっくり掃いておった。
神の力を使えば、雪も落ち葉も一息で消える。
——されど、それは好かぬのじゃ。

冷たい空気、湿った木の香り、
ここを訪れた者の足音の名残。

それらを確かめておらねば、妾はこの社を守っておる気がせぬのじゃ。

「ふむ、今年もよう通ってくれたのう……」

箒を動かしながら、妾は境内を見回す。

あそこで仕事の愚痴をこぼし、灯籠の陰で恋を願い、家族の無事を祈って帰っていった者もおった。

願いは、皆、妾の耳に届いておる。

叶えるも留めるも、時と縁次第。
神とはいえ、ただ奇跡を撒くわけにもいかぬのじゃ。

(然れど——背を、そっと押してやるくらいは、妾の役目じゃの)

破魔矢、お守り、御札の用意。
年末年始は忙しい。

だが、その忙しさこそ、妾は嫌いではない。

ザッ、ザッ——竹箒の音が雪に吸い込まれてゆく。

鳥居の向こうから、子どもらの笑い声が聞こえた。
妾は思わず尾を揺らし、口元を緩める。

「初詣の日まで、きちんと整えておかねばならぬのじゃ。
ここへ参る者らが、安心して願いを託せるよう——」

妾は祈らぬ。

祈るのは人。
受け止め、見極め、導くのは——神である妾の役目じゃ。

箒を握り直し、静かな境内を歩きながら、
妾は今日も変わらず、年の瀬の務めを続けておった。
プロンプト
なし
1件のコメント
きよりん
神様、葛葉様、是非、黒姫ちゃんと結ばれます様にお願い致します。😍

 
竜胆-Rindou-@AI_Art 竜胆-Rindou-@AI_Art 2025年2月より活動開始 201投稿113フォロー250フォロワー はじめまして(*´-ω-))ペコリ 竜胆(リンドウ)といいます。 まだまだ初心者の域を出ておりませんが、楽しんでイラストを生成しつつ、成長して行けたらと思います。どうぞよろしくお願いします«٩(*´ ꒳ `*)۶»