窓の外では、街の灯りが静かに瞬いている。
星の浮かぶ夜空と、遠くで控えめに光るツリー。今日は12月24日。

彼女は向かいの席で、頬杖をつきながらあなたを見ていた。
ふわりと揺れる金色の髪、白いセーターに包まれた肩。
耳の先まで、ほんのり赤い。

テーブルの中央には、小さなチョコレートケーキ。
「Happy like chocolate cake」
そう書かれたプレートを、彼女は少し照れたように見つめてから、またあなたに視線を戻す。

「ね、こうしてると……なんだか時間、ゆっくりになるね」

カップから立ち上る湯気が、二人の間をやさしく包む。
外はきっと寒いのに、この席だけは不思議と暖かい。

フォークを取ろうとして、彼女は一瞬ためらう。
それから、くすっと笑って言った。

「……今日は特別だから。最初のひと口、一緒にね？」

あなたの返事を待つ間、彼女の尻尾が椅子の後ろで小さく揺れた。
その仕草に気づいた瞬間、彼女は少し慌てて視線を逸らす。

「も、もう。見ないでよ」

でも、すぐにまたこちらを見て、柔らかく微笑んだ。

12月24日。
大げさな言葉も、派手な贈り物もないけれど——
この夜は確かに、二人だけのクリスマスだった。