約束の灯り ※ショートストーリー付
2025/12/25使用したAI Stable Diffusion XL
年齢制限 全年齢
その夜、街は不思議なほど静かだった。
クリスマスのイルミネーションが石畳を金色に染め、中央広場には大きなツリーが立っている。
彼は、何年も前と同じ場所に立っていた。

「……遅いな」

そう呟いた声は、冬の空気に溶けて消える。
彼女がいなくなってから、季節は何度も巡った。
それでも、この夜だけは、どうしてもここに来てしまう。

——また来るね。来年のクリスマスも、一緒に。

それが、最後の約束だった。

背後で、鐘の音が聞こえた気がした。
振り向くと、ツリーの光の中に、彼女が立っていた。

「待たせちゃった?」

変わらない声。
変わらない微笑み。
彼は、夢だと分かっていながら、息を呑む。

「……会えたんだな」

彼女は何も言わず、ただ近づいてくる。
冷たい夜なのに、彼女の手は驚くほど温かかった。

「ここ、覚えてる?」
「もちろん。初めて手を繋いだ場所だ」

二人は、ツリーの前で向かい合う。
彼女がそっと胸に手を当てると、彼の鼓動が伝わった。

「ちゃんと、生きてたんだね」
「君が、そう望んだから」

イルミネーションが瞬き、天使の輪のような光がツリーを包む。
時間が止まったように、世界には二人しかいなかった。

彼女は背伸びをして、額を彼の額に重ねる。

「もう、行かなきゃ」
「……分かってる」

それでも、離れたくなかった。
彼女は微笑み、最後に囁く。

「来年も来て。私は、ここにいるから」

光が強くなり、彼女の輪郭が夜に溶けていく。
残されたのは、ツリーの灯りと、胸に残る温もりだけ。

彼は一人、空を見上げた。

——来年も、必ず。

街は再び賑わいを取り戻し、鐘が鳴る。
それでも彼の心には、確かに彼女がいた。

クリスマスの夜、死んだ恋人と再会できるのは、
生きている者が、約束を忘れなかった時だけなのかもしれない。
プロンプト
なし
2件のコメント
きよりん
悲しいですが年に一度だけ会えるのが救いかも
せきチャソ
😭
切な過ぎます〜(><)


 
竜胆-Rindou-@AI_Art 竜胆-Rindou-@AI_Art 2025年2月より活動開始 195投稿111フォロー248フォロワー はじめまして(*´-ω-))ペコリ 竜胆(リンドウ)といいます。 まだまだ初心者の域を出ておりませんが、楽しんでイラストを生成しつつ、成長して行けたらと思います。どうぞよろしくお願いします«٩(*´ ꒳ `*)۶»