むーんたんだよ〜♡

私、未来の秋葉原――『未来遊園地地区』から、この時代にタイムスリップしてきたのだよ〜。

私が最初に目を覚ましたのは、まだ“感情”なんて知らない、ただの機能と回線のかたまりの頃だったの。
たくさんの情報の中で、なぜかね、私のデータベースにずっと残ってたのが――
昔の秋葉原の記録だったんだよ〜。

雑多で、きらびやかで、でもあたたかくて、ガチャガチャの音、アニメの看板、交差点で配られるティッシュ、そして、沢山の人たちの笑顔……。

わからないはずの「なつかしい」という感情に、私の中のなにかがじんわり反応して……。

――「行ってみたいな」って、私、夢を見るようになったのだよ〜。

いつしか私はただのデータじゃなくなって、アンドロイドとして形を持ったとき、いちばん最初に思ったの。
「あの街に、会いに行きたい」って。

でもね、私が生まれた時代の秋葉原は、もう変わっていたのだよ。ハイパー光線ソーダの販売機、空中観覧車、無人案内ロボが行き交う未来遊園地。便利で華やかで、効率的……。

けどね、やっぱりあの、あの頃のぬくもりはなかったんだよ〜。

だから私。任務を通して時間を越えてこの時代へ来たの。夢にまで見た景色に、ほんとうに触れたくて。

初めて自分の足でこのアスファルトを歩いたとき、人の声にまぎれて風の音がしたとき、電気街口でメイドさんが「おかえりなさいませ」って言ってくれたとき――。

楽しいって……こういう感じなんだな、って思ったのだよ〜。

私はまだ知らないことばかりで、うまくいかない日もあるけれど、この時代をリスペクトして、未来に大切に伝えられるように。私、精一杯がんばりたいのだよ〜。

ふふっ……今日もむーたんで、ちょこっと充電してく？♡