むーたん 【③むーたんとあなた】
使用したAI その他年齢制限 全年齢
朝から覚えなければいけないことが多すぎた。
昼を超えてもしなびれた背中にのしかかり、夜までずっと降りてこなかった。
それでもスマホを開けば、誰かが描いた推しのイラストがある。動くイラストアイドルがいる。
誰かの言葉に「いいね」がついている。
「みんな〜おつかれ〜!」って笑ってくれる。
それだけが救いだった。
…はずなのに。
ここ数日、なぜか“全部の通知”が、「遠い誰かの世界のこと」に感じられていた。
いいねもRTも、文字も絵も、音声も。そして映像さえ。
全部、自分の皮膚をすり抜けて、どこにも届かない。
眩しいような優しさの態度は逆に憤りを感じた。
帰りの電車で立っていられなくなって、最寄りじゃない駅で、ふと降りた。
明るすぎる蛍光灯と、遠くで鳴る発車音と、乾いた床と、誰もいないホーム。
──そこに、彼女はいた。
グリーンの髪に、光る黄色の角と尻尾。
黒ずくしの身なり。ヴィジュアルを追い求めたような漆黒のコーデだ。
目が合う。瞳孔はハートだった。ハートの中に、音もたてずに泣いていた自分が映っていた。
何も言わずに近づいてきた彼女は、ごみ箱に捨てたロリポップの棒のように、あっさりと、自分の横に立った。
「ねえ、最近……“元気”の充電、できてる?」
それ以上、彼女はなにも言わなかった。
次の電車が来るまでの数分、彼女は訳も聞かずにずっと手を握ってくれた。
冷たくもない。温かくもない。
でも、“オフラインじゃない”と、わかる手だった。
電車が来た。
乗り込むとき、彼女はこちらに向かってピースしてくれた。
また彼女のハートの瞳孔に自分が映っている。
笑顔でピース返しをしていた自分が、そこにあった。
その一瞬の光は、今日一番長く、まぶしかった。
「……むーたん、最高っす」
家に帰るまで呪文のようにそう呟いていたのは内緒だ。
昼を超えてもしなびれた背中にのしかかり、夜までずっと降りてこなかった。
それでもスマホを開けば、誰かが描いた推しのイラストがある。動くイラストアイドルがいる。
誰かの言葉に「いいね」がついている。
「みんな〜おつかれ〜!」って笑ってくれる。
それだけが救いだった。
…はずなのに。
ここ数日、なぜか“全部の通知”が、「遠い誰かの世界のこと」に感じられていた。
いいねもRTも、文字も絵も、音声も。そして映像さえ。
全部、自分の皮膚をすり抜けて、どこにも届かない。
眩しいような優しさの態度は逆に憤りを感じた。
帰りの電車で立っていられなくなって、最寄りじゃない駅で、ふと降りた。
明るすぎる蛍光灯と、遠くで鳴る発車音と、乾いた床と、誰もいないホーム。
──そこに、彼女はいた。
グリーンの髪に、光る黄色の角と尻尾。
黒ずくしの身なり。ヴィジュアルを追い求めたような漆黒のコーデだ。
目が合う。瞳孔はハートだった。ハートの中に、音もたてずに泣いていた自分が映っていた。
何も言わずに近づいてきた彼女は、ごみ箱に捨てたロリポップの棒のように、あっさりと、自分の横に立った。
「ねえ、最近……“元気”の充電、できてる?」
それ以上、彼女はなにも言わなかった。
次の電車が来るまでの数分、彼女は訳も聞かずにずっと手を握ってくれた。
冷たくもない。温かくもない。
でも、“オフラインじゃない”と、わかる手だった。
電車が来た。
乗り込むとき、彼女はこちらに向かってピースしてくれた。
また彼女のハートの瞳孔に自分が映っている。
笑顔でピース返しをしていた自分が、そこにあった。
その一瞬の光は、今日一番長く、まぶしかった。
「……むーたん、最高っす」
家に帰るまで呪文のようにそう呟いていたのは内緒だ。
プロンプト
なし
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