「これ、買取お願いします」
「はーい、エリカちゃんね」
「はい」

　私はエリカ、八歳。
　ここ王都フランレースで薬草採取をしています。
　今は冒険者ギルドで午前中に採った薬草を買取してもらっているところです。

「エリカちゃん、あのね」
「はい」
「今まで一本銅貨一枚だったでしょ。今日から銅貨二枚になるわよ」
「どういうことですか？」
「エリカちゃんの薬草、品質が認められて倍の値段で買い上げてもらえることになったの」
「やったっ」
「うんうん、これからも頑張ってね。薬師さんたちも期待してるから」
「ありがとうございます」

　本数を数えて今日の給料をもらいました。
　いつもの倍です。

「えっと唐揚げと麦粥ください」
「はーい」

　お昼はいつも冒険者ギルドで食べていきます。

「はい、どうぞ」

　鍋から麦粥をよそって、作り置きの唐揚げをお皿に盛ってもらい受け取ります。
　適当に席に座って食べます。

　もぐもぐ。

　美味しいです。いつも同じようなメニューだけど、私はけっこう好きです。
　今日はさらにお金が余っているのでうれしい限りです。

「エリカちゃん、相談なんだけど」
「なんですか、ギルド員さん？」
「実はエリカちゃんの薬草もっと欲しいって言われていて、午後もお願いできないでしょうか」
「え、うーん、いいですよ」
「じゃあ、午後も同じくらいお願いね」
「わかりました」

　ご飯を食べ終わったので、また城門まで歩いていきます。

「エリカちゃん、今日は午後もかい？」
「はい、門番さん」

　ここには地元民用の通路があって、人相チェックで地元の人しか通れません。
　あちらの馬車や旅人は荷物を確認されるのでけっこう待つそうです。

「さて、どれかな」

　薬草を探します。これがいいかな、とあたりをつけます。
　私はいつも勘で薬草を選別しています。
　これ、もし「教えてほしい」って言われても困ってしまいますね。
　なんとなく見て、よく育っていて、葉っぱが元気そうなのがいいと思います。

「これだ、はい採れた」

　こうして今日も薬草採取をしていきます。
　たかが薬草採取、されど薬草採取なのです。