「はぁ、今日は雨か」

　私クレアは冒険者をしている。
　今日はあいにくの雨だ。
　街を歩いていると鎧の隙間から中に雨が少しずつしみ込んでくる。
　まぁずっと晴れで乾燥してしまうのも困りものなので、どちらがいいかというと少し困る。

「よし、休みだ休み」

　冒険者で外に出ても普通は雨具などは使わない。
　行動を阻害してしまうからだ。
　頭にかぶる傘、全身を覆うポンチョいわゆるレインコートなどがあるが冒険者には適さない。

　早足にギルドに向かう。

「こんにちは」
「こんにちは、クレアちゃん」
「お、クレアちゃんもきたのか」
「こっち座れよ。一緒にカードしようぜ」
「あ、ああ」

　四人テーブルで三人でポーカーをしているらしい。
　相席させてもらって座る。

「唐揚げ二つ。あとぶどうジュース」
「わかりました！」

　ウェイトレスのお姉ちゃんが元気よく返事をする。
　冷めた唐揚げが二皿、それにぶどうジュースをすぐに持ってきてくれた。

「はい、唐揚げ一皿。みんなで食べて」
「あり」
「ありがとう」
「さんきゅ」

　ベック、レミア、ミーナの三人だ。
　ベックとレミアは夕暮れの巨人というパーティーでミーナは朝晴れの階段というパーティーだった。

　みんなでカードゲームをする。
　賭けは厳禁だ。昔は自由だったらしいんだけど、酒を飲んで賭けて負けて暴れるという行為が頻発して問題になり、禁止になった。

　唐揚げは作り置きだが、すぐ出てくるのがいい。
　他にもフライドポテト、枝豆なんかが作り置きになっている。
　ぶどうジュースはよく冷えていて喉ごしがいい。

「ぷはぁ」
「まるでお酒でも飲んでるようですね」
「ぶどうジュースだけどね」
「まだ十八ですもんねぇ」
「そうだよ。ぴちぴちだよぴちぴち」
「あははは」

　外では雨がしとしとと続いている。
　ギルドの酒場では飲んだくれが何人かいるが、みんなちびちびと大人しくやっていた。

「たまにはこういう静かな日があってもいいか」
「ああ、雨が降らないとみんな仕事詰めだもんなぁ」
「雨、ね。雨も悪くないか」
「ああ、そうだな。雨も悪くない」

　こうして冒険者としての日々が過ぎていくのだった。