知り合いのクラブが急にスタッフ不足となり、霧島紗耶は「今日だけ」という条件で助っ人を引き受けた。
広告代理店のデザイン部門で働く彼女にとって、バニーガール姿での接客はまったくの未知の世界。

しかし、照明が瞬くフロアに一歩踏み出した瞬間――
プロ顔負けの気品と笑顔で視線を集め、まるで別人のように華やかに舞台を支配していく。

「1日だけ」のはずが、誰もが彼女の存在感に魅了され、
紗耶自身も、普段とは違う自分をほんの少しだけ楽しんでしまっていた。

その夜、彼女は“デザイナーでもOLでもない、特別なもうひとりの紗耶”を知ることになるのだった。