――吐く息が白く染まる冬の朝。
霧島紅葉はマフラーを整え、街へと歩き出した。

お気に入りのベージュコートに黒のタートルニット、
デニムスカートとブーツが冬の空気によく映える。
街路樹にはイルミネーションが瞬き、
すれ違う人々の笑い声が遠くでこだまする。

「今日は絶対にいい写真を撮るんだ」
そう呟きながら、カメラを構える紅葉。
凍てつく風の中でも、その笑顔はあたたかい。

ショーウィンドウに映る自分の姿を見て、
ふと小さく微笑む。
――昔より、少しだけ自信を持てるようになった気がした。

冬の街の光と影の中、
紅葉の一歩一歩が、確かな物語を刻んでいく。