待ち合わせchapter 5 江ノ島 操(えのしま みさお)
2025/1/3使用したAI Stable Diffusion
年齢制限 全年齢
初詣の参拝客で溢れる神社の境内。新年の朝、雪がちらちらと舞い降りる中、俺は約束の時間より少し早く到着していた。


操。俺の幼馴染。小学生の頃から何でも話せる友達で、何の壁もなく接してきた相手だ。
でも中学を卒業してから、彼女は新体操の特待生として有名な学校に進学して、気づけば疎遠になっていた。久しぶりに連絡が来たときは正直驚いた。

気づけば、彼女のことをよく知らなくなっている。昔の記憶を頼りに彼女を思い浮かべても、サッカーで泥だらけになって笑っていた姿や、キャンプで焚き火を囲んで騒いでいた姿しか出てこない。


その時、人混みの向こうから鮮やかな青が目に飛び込んできた。雪が白く舞う中、青い着物に包まれた操の姿が現れる。椿柄の上品な装いに、緑の髪が艶やかに結い上げられたポニーテール。
ふと目に留まるうなじが、冷たい冬の空気に際立って色っぽい。

俺の記憶にあった操とはまるで違う。目の前にいるのは、堂々とした美しさを纏う女性だ。少しも飾らず、しかしどこか凛とした気品を感じさせる。胸が一瞬にして高鳴り、声をかけるべきタイミングを逃してしまった。

「久しぶり、元気してた?」操が笑顔で手を振りながら近づいてくる。その笑顔だけは昔のままだ。

「あ、ああ、元気だよ。操も相変わらずだな……」

「相変わらずって何それ!もっと褒めてくれてもいいのに……。まあいいや、とりあえず行こっか!」

彼女にリードされる形で本殿へ向かう。参道は人で溢れていたが、操と並んで歩くとそれさえ気にならない。話す内容はたわいもないことだが、隣にいるだけで不思議と満たされた気分になる。

お参りを終えた後、境内の端で一息ついた。操が俺の方を向き、少し首を傾げて尋ねる。

「ねえ、何お願いしたの?」

その質問に、一瞬心臓が跳ねた。正直に言うべきなのか、それともはぐらかすべきなのか。

「別に、大したことじゃないよ。ただ、今年一年平和に過ごせますようにってくらい。」

嘘ではないけれど、本当の願い事を言うには勇気が足りなかった。操ともう少し一緒にいられますように……なんて。

「ふーん。」

操は小さく笑って、「それっぽいね」とだけ言う。その笑顔に、胸の奥がじんわりと温かくなる。この一瞬が、ずっと続けばいいのにと思った。

新年の空気は冷たく澄んでいたが、俺の心の中には、温かな火が灯ったままだった。
プロンプト
なし
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