九屋敷 美羽は麻雀である
2025/9/24使用したAI Stable Diffusion XL
年齢制限 全年齢
俺の名前は山田。どこにでもいる平凡な男子高校生だ。
そう、平凡……のはずだったのだが。

その日の朝、教室のドアを開けた瞬間、俺は息をのんだ。
なぜか教室中央にドンと鎮座しているのは、勉強机でも黒板でもなく――麻雀卓。
しかも四隅には生徒たちが囲んでおり、真剣な眼差しで卓上を凝視している。

「ロン。役満です」

低く、重みのある声が響く。
声の主はチャイナ服姿の女子――九屋敷美羽だった。
普段は物静かな彼女が、今は麻雀漫画『ア〇ギ』の主人公みたいなオーラを纏っていた。

「見よ、この『大宇宙ドラゴンフラワー改』を……」

俺は思わず叫んだ。
「そんな役ねーよ!!!」

しかし周囲の生徒たちは「おお……」「やはり九屋敷は天才だ……」と頷いている。
いや、洗脳でもされてるのか?

美羽は煙草をくわえている(もちろんお菓子だ。校則は守る女だ)。
そして流れるように牌を切る。

「ツモ。『四次元銀河無双八十八面(∞)待ち』」

「なんだ厨二病みたいな役!無敵すぎるだろおい!!!」
俺のツッコミもむなしく、ざわ……ざわ……と教室全体が震える。
どこからともなく麻雀マンガ特有の集中線が飛び交い、ざわ……ざわ…まで肉眼で見えるようになっていた。

だが俺にはわかる。美羽は麻雀を一ミリも知らない。
さっきから牌の置き方ですら全部デタラメだ。おまえジェンガやってんじゃねーんだぞ!
それでも「役満です」と言い切れば、なぜか周囲が納得してしまう不可思議な空間。

「山田くん」
不意に指をさされた。
「あなたも、この闘牌に加わりなさい」

「俺ぇぇぇぇ!?」
教室中の生徒が一斉に視線を向ける。完全に公開処刑だ。

俺は震える手で牌を引いた。
……よし、とりあえずチーしとくか。

「そのチー、無効です」
「はやっ!?まだ言い終わってねえぞ!?」

美羽は不敵に笑う。
「山田くん。あなたの『平凡』という牌は、この卓には存在しない」

うるせえよ。何だよその哲学的麻雀。

結局、俺は「ただのリーチ」すら許されず、気がつけば全財産(購買で買う予定のあんぱんの代金まで)をカツアゲされた。
最後に美羽はこう言った。

「覚えておきなさい。九屋敷美羽は――麻雀そのものである、と」

……いや、もう意味わかんねえよ。
こうして俺の平凡な朝は、平凡どころか異様すぎる非日常に飲み込まれていったのだった
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なし
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