月詠瑠那と古の魔導書
2025/8/18使用したAI Stable Diffusion XL
年齢制限 R-15
目を覚ますと、そこは黒い帳で覆われた部屋だった。

床一面に描かれた魔方陣。燭台が赤黒く燃え、壁には見慣れぬ記号が蠢くように刻まれている。
息を吸うたびに、鉄のような血の匂いが肺を刺した。

中央に立つのは――月詠瑠那。
黒いセーラ服の裾が闇に溶け、片手には銀のナイフ。
もう片方の腕に抱えられていたのは、異様に分厚い古の魔導書。表紙は革で覆われ、どくん、と心臓のように脈打っていた。

「先生……」
瑠那の声が波紋のように広がる。

「人はなぜ“不死”を求めるのだと思います?」

「ふ、不死……? そ、それは……死が、怖いから……」

声が震えた。

「怖いだけじゃない」

瑠那は魔導書を開いた。紙面の文字は黒い墨ではなく、赤い血で書かれているように見えた。読んでいるうちに、文字は形を変え、目を逸らすとまた戻る。まるで意思を持っているかのように。

「終わりを拒むのよ。愛も、美も、記憶も……。だからこの書は、永遠をささやき続けるの。血を捧げれば、ページは応える」

言葉に合わせて、ナイフの刃先が紙に触れる。じゅ、と焦げるような音と共に赤い筋が広がり、書の奥から何かが囁いた。

耳に直接触れるような声――「まだだ」「もっと寄越せ」。

私は喉を押さえた。声が、血が、吸い取られるような錯覚。
瑠那は静かに微笑む。

「ねえ、先生……あなたの血で、このページを完成させてあげられる?」

「ごめんなさいね」

囁きと共にナイフが胸に触れた瞬間、視界が白く爆ぜた。

――目を開けると、保健室の天井

胸には痛みも傷もない。けれど指先は赤黒く汚れている気がした。

カーテンの影から、魅亜が現れる。制服姿で、無垢な微笑。

彼女の手には……一冊の古びた本。

「先生……顔色が悪いですよ? 夢でも見ました?」

「そ、その本……」

「これ?」魅亜は軽く持ち上げる。「ただの古い詩集ですわ。迷信や噂話が好きな人には、魔導書に見えるのかもしれないけれど」

彼女はそう言って、ページをひらひらとめくった。
だが、めくる音の合間に――確かに私は聞いた。
「まだだ」「もっと寄越せ」と、血を啜るような囁き声を。

窓の外で、赤い月が不気味に揺れていた。
プロンプト
なし
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