美月お嬢様の華麗なる食卓 一食目
2025/7/3使用したAI Stable Diffusion XL
年齢制限 全年齢
「……放課後というのは、なぜこうも空が広く感じられるのでしょう」

鵜飼美月は、革靴の音を軽やかに響かせながら、ひとり帰路についていた。名門校の白い門を出た先、石畳の角を曲がると、いつもと変わらぬ風景。

駅前のソフトクリームショップ。
制服の生徒たちが列を成し、部活帰りの談笑が甘い香りに混じって漂ってくる。

(……今日もやっていますのね。毎日毎日、飽きもせず。氷菓子如きに群がるなど、品性のかけらも……)

そう目を細めながらも、美月の歩みは店の前で止まっていた。


そんな否定的な思考の裏で、視線は塩キャラメルミックスに釘付けだった。

(それにしても……あの螺旋、実に美的ですわね。ルネサンス期の柱のような、滑らかな曲線。あの造形美は一見の価値が――って、違いますわよ!?)

「美月~! やっぱりいた! 今日は新作の“塩キャラメルミックス”だってさ!」

振り向くと、市井さんが笑顔で駆け寄ってきた。手には、例のとろける塩キャラメルミックス。


「一口、食べる? 今日の、ほんっとうに美味しいよ!」

「……べ、別に、興味はありませんの。ただ、造形の観点から一度、分析してみようかと……」

脳内会議の末、美月はそっと手を伸ばす。

「……まあ、そこまで言うのなら、味の確認くらいはして差し上げてもよろしくてよ」

ぺろり。

(!?)

(こ、これは……っ!)

口内に広がる塩キャラメルの深淵なる甘みと、ミルクの柔らかい冷たさが、理性の壁をあっさり崩壊させた。

(なんですのこれは……! まるで、口の中に一頭の仔牛が牧草を抱えて駆け込み、金色の夕陽の中で踊っているような……! 甘い……甘すぎますわ脳が糖分を求め牛乳の海に溺れてしまいますわ……!)

一瞬、瞳が潤んだ。震える指先に、ソフトクリームが小さく揺れる。


「で、どうだった?


「ええ……まあ、結論としては……“良き”ですわね認めて差し上げますわ」

照れ隠しのように頬を紅潮させながら、美月は静かに言葉を継いだ。

小さく咳払いをして、目を逸らす。

「け、けれどこれは一時の気の迷い。わたくしがハマるなど、ありえませんわ。た、ただの庶民の文化研究ですもの!」

――その日、美月お嬢様は帰り道のベンチで、もう一つソフトクリームを買って静かに座っていたことを、誰も知らない。
プロンプト
なし
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