月詠瑠那と静寂のランウェイ
2025/6/21使用したAI Stable Diffusion XL
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――カツ、コツ、カツ。

硬質な音に目を覚ますと、知らない場所にいた。
骸骨たちが無言で佇む、白く長い回廊。壁も床も天井も、月明かりに濡れたような青白さを放ち、空気は氷のように冷たい。

天音梨花は漆黒のドレスに身を包み、玉座の上に座っていた。

「……え?」

カラカラ、と骨が転がる音。風などないのに、どこからか吹きすさぶ気配に、骸骨たちがざわめく。

――コツ、コツ。

その音が近づいてくる。ハイヒールの底が静寂を踏みしめる。

やがて、彼女が姿を現した。月詠瑠那。ミステリアスな生徒。
だが今、彼女はまるで“月”そのものだった。
銀を帯びた漆黒の髪が、ひそやかに風に揺れ、黒いドレスが夜を引きずるように回廊を歩いてくる。月の光がまるでスポットライトのように、彼女の背を照らしていた。

「先生、気づいたのね。ようこそ、“静寂のランウェイ”へ」

「る……瑠那さん? ここは……?」

「記憶と時間の狭間よ。……美しいものだけが、歩ける場所」

彼女がくるりと踵を返す。その瞬間、遠くの回廊の先に、もう一人の瑠那が見えた。
ボルドーのドレス。優雅な足取り。微笑を浮かべ、こちらに向かってくる。

「え……?」

今度は、別のドレスを纏った瑠那が現れる。その後ろにも、また一人。そして、また一人。
瑠那が、何人も――その全員が“本物”に見える。

「どうして……どうして、瑠那さんが……たくさん……?」

「数えてみて? 私が、いったい何人“いる”か」

囁いたのは、玉座のすぐ脇に立っていたもう一人の瑠那だった。
その足元には、月詠魅亜が膝をついていた。静かに顔を伏せながら。


ゾクリと背筋を走る寒気。ドレスの袖が、ひとりでに宙に舞う。骸骨たちがざわめき、私の名前を呼ぶ声が骨の隙間から漏れて――

玉座が、崩れた。

私は、底知れぬ闇に吸い込まれる。誰かの冷たい指が足首を掴んだ、その瞬間。

「ひゃっ!?」

飛び起きた。そこは保健室。
ベッドの上。胸元が汗で張り付き、頬は蒼ざめている、額には冷たい汗。

傍らに、月詠魅亜が無言で立っている。

そして、その背後のカーテンがひとりでに揺れた。

「おはよう、先生。……素敵な夢、見られました?」

振り返ると、誰もいない。

けれど、廊下の奥から、ハイヒールの音がコツ、コツと響いていた――。
プロンプト
なし
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