秘密の星空
2025/6/20使用したAI Stable Diffusion XL
年齢制限 全年齢
夜の学校の屋上。文化部の活動はとっくに終わっているが、灯りがひとつ。

「……見えました。こと座のベガ」

望遠鏡を覗き込んでいた狭霧華蓮が、静かに呟く。
紫峰怜花は、その横顔をそっと見つめながら、手にした懐中電灯を消した。

「星って……遠いのに、よく見えるのね」

「はい。光は25年かけて、ここまで届いています。つまり今見ているのは、“25年前のベガ”です」

「25年前……そんなに昔の光を見てるなんて、不思議」

「宇宙では、過去が光っているんです」

華蓮の口調は相変わらず淡々としていたが、どこか優しげだった。

「先生。望遠鏡って、目で見るタイムマシンだと思いませんか?」

「ふふ……そうね。でも、華蓮さんが見てるのって、星だけじゃない気がする」

「ええ。宇宙の“しかたなさ”も、です」

「しかたなさ?」

「どうにもならない距離とか、届かない時間とか。でも、それでもなお“見たい”って思う気持ち」

怜花は少し驚いて、そして思わず笑った。

「それ、先生の悩みに似てるかも」

「……?」

「生徒との距離、どう詰めていいか分からないときがあってね。でも、分かりたいとは思ってるの」

「でしたら、先生も“星を見る人”ですね」

「そんな素敵な役割だったのね、先生って」

夜風がそよぐ。華蓮はスッと望遠鏡から顔を上げて、怜花に視線を向けた。

「先生。光は遅れて届きますが……優しさは、もっと早く伝わります」

「……それ、今日いちばん嬉しい言葉かも」

華蓮はそっと微笑むと、怜花の手に小さな星図の紙片を手渡した。

「今日見た星の記録です。“過去の光”の在りか。先生に、渡しておきたかったので」

怜花はそっとそれを受け取り、折れないように胸元にしまった。

「ありがとう。“光が届く人”になれた気がするわ」

夜空は変わらず広く、遠かった。
けれどその下、二人の間には、確かなあたたかさがあった。
プロンプト
なし
コメント

 
ピッカ(AI Art repositor) ピッカ(AI Art repositor) 2023年9月より活動開始 384投稿38フォロー133フォロワー pop life department. m's × IROMIRAI 「25周年記念キャラクターデザインコンテスト」にて キャラクター《夢倉ミューズ》が最優秀賞をいただきました。 たくさんの応援とご縁に支えられて このような評価を頂けたこと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。 AIイラストのお仕事のご依頼を募集中です どうぞお気軽にDMまでお声がけください