月詠瑠那と薔薇の庭園
2025/6/15使用したAI Stable Diffusion XL
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「……えっ?」

気がついた時、天音梨花は、知らない場所に立っていた。

頭上には満点の星空。三日月が、青白い光を地面へ注いでいる。視線を落とせば、一面の薔薇。どこまでもどこまでも、赤い薔薇が咲き乱れていた。あまりの美しさに息を呑む――けれど、その空気はどこか、ひどく冷たく、不気味だった。

「ごきげんよう、先生」

振り向けば、月詠瑠那がそこに立っていた。いつものゴシックなドレス姿。闇の中でもはっきりと目を引く、紅と紫の瞳。髪は月光を飲んだようにゆらめいている。

「……!?」

瑠那は微笑んだまま、歩み寄ってくる。白百合の香りが漂い、薔薇の花がふわりと揺れた。

「先生。この庭園の薔薇が、なぜこんなにも赤いか……ご存知でしょうか?」

「えっ、それは……、品種が――」

「いいえ、違います」

「で、では……薔薇が“赤く見える”のは、人の認知がそうさせているとか……」

瑠那は、ふっと微笑み、そして、まるで子供に優しく教えるように言った。

「……いいえ、違いますわ」

声は優しく微笑を浮かべたまま、しかし冷たかった。風が鳴き、薔薇の花びらがひとひら、梨花の頬に落ちた。

「……この薔薇たちは、最初はみんな、白かったのです」

「え……?」

「でも薔薇は、棘を持つ花。人は、その棘に触れ、血を流す。悲しみも、後悔も、嫉妬も、愛しさも……すべて、赤い色に変わっていく。だからこの庭園の薔薇は、こんなにも深い赤なのです。……人の血で、染まった深紅だから……」

ぞわり、と背筋に冷たいものが走った。

「そ、そんなの冗談、です、で、ですねっ……!」

「……ごめんなさいね、先生」

瑠那のその声が聞こえた瞬間――

「っ……!? い、痛……っ!」

首元に、何かが絡みつく感触。見れば、赤い薔薇の枝が、まるで生きているかのように首に巻きついていた。引きはがそうとするが、棘が指を裂き、血が流れる。視界がぐにゃりと歪んで、目の前が黒く染まっていった。

 
──気がつくと、天井が見えた。真っ白な天井。保健室のベッド。

「……ゆ、夢……?」

首に手をやる。傷はない。服も乱れていない。夢だったのか……そう思った――が。

指先に、赤い何かが挟まっていた。

一枚の、薔薇の花弁。

それはまぎれもなく、あの庭園に咲いていた、深紅の薔薇だった。
プロンプト
なし
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