月詠瑠那と不思議な肖像画
2025/6/12使用したAI Stable Diffusion XL
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紅茶の香りが鼻をかすめた瞬間、天音梨花は自分がどこにいるのか、分からなくなった。

「……えっ?」

ふと我に返ると、彼女はロココ調の豪奢な応接間のような部屋に座っていた。白と金の曲線が織りなす椅子、繊細なレースのテーブルクロス、そして手には、品の良い磁器のティーカップが握られていた。

対面には、銀の髪をたなびかせた少女──月詠瑠那が静かに紅茶を口に運んでいる。

「先生!?」

「えっ……あ、はいっ。ごきげん……よう、で、ですね……」

心臓が早鐘を打つ。ここに来た記憶が、どうしても思い出せない。

「どうかしました?」

瑠那が首を傾げる。深紅と紫の瞳が、月明かりのように鈍く輝いていた。

「い、いえ……な、何でもないです……っ」

視線を逸らし、室内を見回す。壁一面に並ぶ無数の肖像画──どれも、銀髪の少女。レースのドレスに包まれ、無表情に前を見つめるその姿は、まるで瑠那の写し鏡のようだった。だが――

(これ……何百年前の肖像……?)

中には明らかに17世紀の筆致と思しき古びた肖像もあった。

「この絵……全部、あなた?」

梨花が尋ねると、瑠那は紅茶を置き、ゆっくりと瞬きをした。

「……ええ。似てる、でしょう? でも、ただの絵よ。記憶の断片」

その言い方に妙な含みがあった。

その時――

ざわ……と背筋を撫でるような寒気。視界の隅で、肖像の中の誰かが動いたような気がした。

「……!」

顔を向けると、ひとつの肖像画の“少女”と、目が合った気がした。

一瞬、世界が裏返るような眩暈に襲われた。

気づいた時には、自分が肖像画の中にいた。

目の前には紅茶を口にする瑠那と、自分が“いた”はずの椅子。その風景を、まるで額縁の内側から見ているような感覚。

──動けない。声も出せない。

そのまま、意識がすぅ……と沈んでいった。



次に目を開けた時、梨花はベッドの上にいた。学校の保健室の、いつものベッド。

(夢……?)

額に浮かぶ冷たい汗。手には、紅茶の残り香が微かに残っていた。だがそれ以上に、胸元に触れた瞬間、彼女は凍りついた。

月のペンダントが、仄青く……いや、妖しく光っていたのだ。

「……あれ……これ……私、いつから……?」

それは、肖像の中の少女たちが皆、首に下げていた**“あの”ペンダント**と、まったく同じだった。
プロンプト
なし
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