秘密の虹
2025/5/31使用したAI Stable Diffusion XL
年齢制限 全年齢
雨が上がったばかりの放課後。
校舎の裏手、濡れた芝生の上で、紫峰怜花はぼんやりと空を見上げていた。

「……出てる、わね」

灰色だった空に、ほんのりと七色のアーチがかかっていた。

「先生、いましたか」

背後から、静かな声。振り返ると、狭霧華蓮が傘をたたみながら近づいてきた。

「虹、見てたんですか?」

「ええ。……昔は、虹の端を見つけたら宝物があるって思ってたの」

「今でも、ありますよ。宝物」

「え?」

華蓮は隣に並び、スカートの裾が濡れるのも気にせず、そっと手を差し出した。
その手には、小さなプリズム。

「理科準備室で見つけました。古い実験用の。……ちょっとだけ、お借りして」

光が射した。
プリズムを通って、ふたりの足元に、小さな虹ができた。

「ね、言ったとおりでしょう? ここにも宝物」
「……ほんとだ」

怜花は笑った。
虹が空にも、地面にもある。誰かと分け合える虹なんて、初めてだった。

「先生。虹って、どうして七色か知ってますか?」
「んー……光の波長の関係?」
「そうですね。でも、“七”と数えるのは、日本人の感性なんだそうです」
「そうなんだ?」
「国によっては三色だったり、六色だったり。“見える”と“感じる”は違うんです」

怜花はその言葉を、少しだけ胸の奥で転がす。

「……じゃあ、私たちが“きれいだな”って思うこの虹も、全部、錯覚かもしれないのね」
「でも、“きれいだ”と、ふたりで思えたら、それはもう真実です」

そう言って、華蓮はそっとプリズムを手渡してきた。

「……一緒に見ると、世界ってちょっと広くなりますよね、先生」

怜花は、虹のように優しいその言葉に、心がふわりとほどけるのを感じた。

空の虹はもう薄れていたけれど、足元には、まだ七色のかけらが残っていた。
プロンプト
なし
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