秘密の雨宿り
2025/5/29使用したAI Stable Diffusion XL
年齢制限 全年齢
突然の夕立。
びしゃびしゃになったふたりは、屋根付きのバス停に駆け込んだ。

「寒い……っ」
新米教師・紫峰怜花がぶるりと肩をすくめると、隣の狭霧華蓮も、静かに小さく頷いた。


ふたりは並んで座る。雨音はどんどん大きくなり、逃げ場を失った空気がじっと周囲に沈んでいた。

怜花が両手をこすり合わせていると、隣の華蓮が、そっと言った。

「先生。手、貸してください」
「え? どうしたの?」
「寒さを和らげるには、皮膚接触による体温交換が最も効果的です」
「……それってつまり、手をつなぐってこと?」
「はい。そうです」

そう言って、華蓮はすっと手を差し出す。
怜花は一瞬ためらったが、震えた指を重ねた。

「……あったかい」
「先生のほうが少し、冷たいです」
「ちょっと恥ずかしいんだけど……これも授業の一環ってことで」
「保健体育、ですね」

くすっと笑い合ったあと、少し沈黙が流れる。

「先生」
「ん?」
「雨って、どこか懐かしいですね」
「うん……。なんでかな」
「たぶん、音が包むからです。世界の輪郭がやわらかくなる」
「素敵ね……詩人みたいなこと言うのね」
「先生が、そういう気分にさせるだけです」

怜花は、ほんの少しだけ頬を染めて、そっと視線を逸らした。

バスは来ない。雨も止まない。

けれど、手のひらにじんわりと宿るぬくもりだけは、どこか確かなものだった。

「ねえ、先生」
「なに?」
「このまま、もうちょっと雨宿りしててもいいですか?」
「……そうね……もう少しだけね……」

雨は降り続く。
ふたりは、同じ屋根の下で、手を握り合いながら、しばらく世界の一部になっていた。
プロンプト
なし
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