【夏色ランナーズ】

真夏の陽射しが降りそそぐ商店街。

今日は年に一度の「サマー・ストリートラン」、街をあげたランニングイベントの日。

ミナは、どこか遠くを見つめるような眼差しで走り出す。

彼女の目標は、ただゴールに辿り着くことじゃない——去年の大会で負けた自分を追い越すため。

沿道には拍手と声援、友達や知らない人たちの笑顔があふれる中、ミナは風を切って走る。

汗ばむ額、乱れる呼吸、でも一歩一歩、確かに前に進む足。

この道の先にあるのは、誰かとの勝負じゃない。

自分だけの「昨日より強い私」だった。