桃香「霧華の紹介で丁度お産に立ち会わせてくれるしが居ったんは幸いやったな。ありがとな、許可してくれて。」
ゆかり「良いっすよ、それくらい。本土じゃこう言う機会なんてそうそう無いでしょ？じっくり見てって下さい。」
円香「それにしても随分冷静になられましたね。ついこの間までは学校の生徒見る度に驚いてましたが。」
桃香「こんだけ見ちくりゃたまがる気持ちもま出尽くしたけん、それならいっそ将来どうするか考えるに参考になるち思ったけんな。」


ゆかり「え？将来って露庵さんと付き合ってるから露庵さんの子供産むんじゃ無いですか？」
円香「そうじゃないわよ。本土は私達の島と考えが違うんだから子供作るにしても卒業後になるわよ。」
桃香「いやいや、時期とかそう言う話ちゃうんよ。あれが精神体だけの存在やろ？子供産むにしても殆ど一緒に居られんやん。やけん、そう言う状態で子供まで作るんか悩んじょってな。ほいち実際子供産むところとか見ると『それでも産みたい！』ち気持ちなるんか思ってな…」
ゆかり・円香「………？？」
桃香「どしたん？呆けた顔しち…」
ゆかり「もしかして露庵さん何も言ってない？」
円香「確かにあの人、そう言うとこ抜けてるからね…。」
桃香「？？？何なん？あれが何言っちょらんの？」
円香「実はですね…」



桃香「はああァァァ！？肉体が作れそう！！？」
円香「は、はい。精神体だけの夢魔は恋人となった人から体液を通して魔力を摂取するとその魔力を使って受肉する事が出来るんですよ。」
ゆかり「結構な魔力が必要だからすぐにとはいかないけど、それでも後一月もすれば出来そうだって言ってたっすね。」
桃香「聞いちょらん！聞いちょらんでんな話ィッ！？」
ゆかり・円香「…やっぱり。」
桃香「なしそげん大事な話しちくれんかったんかあん阿保わぁ〜ッ！？…ち叩く！今日夢に出たらち叩いたるわ！！」
円香「お、お怒りは御尤もですが、なるべく穏便に済ませましょう、ね？」
ゆかり「…あはは」



露庵「…そっか〜。そう言えば桃香には言って無かったんだっけ？言った様な気もするけど…ま、いっか。許してくれるっしょ桃香なら。」
露庵「…まぁタンコブの一つや二つは覚悟しとこうかな、あはは…」



島の習慣に慣れて来た桃香ちゃんのお話でした。露庵の紹介時に書いた「目的」は受肉の為でした。