狐のお姉さんにぬし様って呼ばれてみたいですよね？

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ほおれ、ほれほれ、ぬし様、早う歩いておくんなまし
もうとっくに大輪が夜空に上がっておりんすよ

え、暗い夜道をそんなに早くは歩けんと？
なるほどなるほど、では、わっちが手を引いてあげんす
ほれ、もっと近くに寄っておくんなましな。

あっはっは、ぬし様、お顔が真っ赤におなりんす。
これなら提灯はいりゃせんね。
おっと、からかいが過ぎましたかしら。

おいでませませ、狐火さま。

どうぞ、ぬし様。わっちの尻尾を提灯に変えんした。これなら暗がりもよく見えんしょう。
ん、こんな人里近くで妖術を使って大丈夫かと？
こんなお祭りの日ですもの、何処ぞのあやかし退治も陰陽師も今日は空ばっかり見て
わっちらのことなぞ目にも止めんしょう。
だからこうして妖達も今日ばかりは喜んで祭りに参加できんす。

むぅ、やはり出遅れてしまいんしたね。
この人ごみ、これ以上先には進めそうにありんせん。
おや、あの屋根の天辺、あのあたりなら花火もよく見えんすね。
ではぬし様。わっちにしっかり捕まっておくんなまし。
ちょっと、空のお散歩を致しんしょう。