歌姫「印伽、あの人って主女島の…」
印伽「本校のナンシー先輩だね。一緒に話してる人は誰だろ？この村にあんな人居ないよね？」

アルエナ「あちらの方は山脈を越えた遥か西方の『蓬莱』と言う国の宰相らしいわ。」
歌姫「そんな国があるんですか。でもどうしてそんな国の宰相とナンシー先輩が話してるんですか？」

アルエナ「話してるのは守護者の女色さんと兵団長の世界さんよ。ナンシーは通訳をしてるの。」
印伽「通訳って、中国語話すんですか！？異世界の国で！？」
アルエナ「あら、珍しい話じゃないわよ。古代に地球人がこちらの世界にやって来て色んな文化や言語を伝えて来たの。この世界はそう言う歴史があるのよ。」
歌姫「へぇ～。じゃあ蓬莱は昔の中華圏の人達が移住して来た国ですか。」

印伽「ところでそちらの二人は何か不機嫌そうだけど、大丈夫？」
タリシャ「私は西の国の人達嫌い。色んな国がいっぱいあるけど、どの国も余所者に攻撃的。私の部族はいつも迫害されて来た。」
歌姫「随分世紀末な話ね。戦国時代みたいなものかしら？」
シーレ「そう解釈しても構わないだろう。特に野心的な国は東の大陸にまで攻めて来るからな。私達も手を焼いた。…しかし蓬莱と言えばかなりの西方の小国の筈だが、一体何が目的でこの村に来たんだ？」

ベストラ「小国と言うのは昔の話ね。確かに領土は他に比べまだまだ小さいけど、国主が自ら皇帝を称して版図を拡大しているやり手よ。」
印伽「知ってるんですか？」
ベストラ「一年前傭兵としてあの国に着いたけど、西の国々は単一種族の国家が多く排他的な所ばかりなのよ。でも蓬莱だけは多種族国家で柔軟な政略に長けた国だったわ。」
シーレ「そんな国家だったか？私は人間の国だと記憶しているが。」
ベストラ「今の皇帝さんが国主に就いてからね。国が変わったのは。」
ターシャ「なんて名前？」



ベストラ「確か…藤劉原明日楽、って言う名前だったわね。」