【ピンポン・クイーン】

1打、また1打──
永遠のように続くラリーの中で、時間は凍った。

観客の息遣いすら聞こえない。
ただ、心臓の鼓動とボールの弾む音だけが彼女の世界を満たしていた。

この一球で流れが変わる。
勝敗の境界線、集中の極限。

彼女の目がほんのわずか揺れた。
相手のクセ、風の流れ、足元のわずかな重心。
すべてを見極めて――

スマッシュは稲妻のように放たれた。

頂点で交わる意志と意志。
その一瞬だけ、彼女は世界の中心にいた。

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