晴れ渡る空の下、グラウンドは歓声に包まれていた。生徒たちが見守る中、綾音はチアの隊列の中に立っていた。短いスカートが風に揺れるたびに、太ももが露わになる。無数の視線が自分に注がれているのが、肌で感じ取れた。

（こんなの……なんで私が……）

無理やり作った笑顔が、張りついたように固い。こんな衣装を着て、人前で踊るなんて、ただの恥さらし。けれど、「学校行事だから」「委員長としての責任だから」――そう言われれば、拒む理由がなくなる。

「よっしゃー！　委員長、頑張れー！」

体育会系の男子たちが、まるで見世物でも見るように騒ぐ。軽いノリの声援が、突き刺さるように耳に響いた。

（ふざけないで……！）

嫌悪感と屈辱で、胃の奥が重たくなる。それでも踊らなければならない。振り付け通りに、両腕を大きく振り、跳ね、回る。スカートがふわりと広がるたびに、男子たちの視線がぞわりと肌を撫でるようだった。

「いいね！　委員長、ノリノリじゃん！」
「もっと腰振らなきゃ！」

ニヤついた声が飛ぶたびに、心が軋んだ。歯を食いしばる。でも、ここでやめるわけにはいかない。そうすれば、「ノリが悪い」「委員長なのに空気が読めない」と陰口を叩かれるのがわかっていた。

（……早く終われ！）

心の中で叫ぶ。しかし、時間は容赦なく流れていく。飛び跳ねるたびにスカートが舞い、無遠慮な視線がそのたびに絡みつく。

体育祭の歓声は、まるで嘲笑のように聞こえた。